徒然読書録 『源氏物語』 ~心情描写が変態に力を与えるとき

最近、源氏物語を読んでいます。
言わずと知れた平安時代の名作ですが、
長すぎて読むハードルが高いと感じていました。
でも、いざ読み始めると、意外と面白く、なんだかんだで読み続けています。





「面白く」と言っていながら早速矛盾しますが、
ストーリーが面白いとは言いづらい部分が多々あります。
序盤部分は源氏の恋愛遍歴をひたすらたどるだけで、
どうせ源氏もモテモテなので、恋の行方はまあだいたいわかります。
でも、妻にしないこともわかりきっているわけです。

そして、ストーリーテンポも今の小説と違って、
じゃんじゃか出来事が進んでいきます。
風景描写と人の動きの文章バランスが、
私の肌感と合わないことも多いです。

さらに、主人公の源氏は最高の美しさの描写をされながら、
指折りのダメ人間描写をされていて、笑っちゃうくらいです。
ロリコン、寝取り、ライバルとの恋のくだらないバトル、ほぼ強姦、
そして狙った女の子が可愛くないとわかると、すぐに逃げ出すという。
そんな彼なのに花見に来れば、満開の桜も輝きが薄れ、
恋煩いにやつれてしまっても、
それが一層彼の美しさを引き立てるという書き方をされています。
歌も舞もうまい、ラノベでもありえないチートな性能です。

しかし、そんな点がありつつも、
登場人物の心の機微は細やかに描写されています。
それがこの物語の突き抜けて素晴らしい点だと感じます。
特に登場人物が感極まって涙する場面が多いのに、
その文章のバリエーションには驚かされます。

そういう描写があるから、
源氏を変態と断定しつつも、その心情に納得させられます。
たとえば、若紫を引き取ろうと思ったときのこの心の声。

「愛する者を信じようとせずに疑いの多い女でなく 、無邪気な子供を 、自分が未来の妻として教養を与えていくことは楽しいことであろう 」

やばい。しかし、想像することはわかってしまいます。

そして、源氏と女性たちの手紙に入る和歌。
源氏から送る手紙に対して、女性たちは断り文句を入れつつも、
源氏の歌のキーワードをさりげなく返歌に盛り込む細やかさがあります。
そんな源氏は、断られてしまってもそういう慎ましさに逆に焦れてしまったりとか。

こういう心情描写があるからこそ、
源氏物語は千年の時を経ても、なお物語として残るんだと感じました。
書いた人が女性らしく、読んでいてこっちも女々しくなれます。
平安時代の宮中で流行る理由、わかる気がする…………か?

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プロフィール

蛮天丸

Author:蛮天丸
物書き。
東方プロジェクトの二次創作小説を中心に、
好きなものを好きなように書いています。
最近は秘封がお好き。
秘封処女膜合同の主犯(siroito.web.fc2.com/maidenhead/)だけど、処女じゃないよ!
アイコンは一条さんからお借りしました。

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