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徒然映画録 『シン・ゴジラ』 ~ 現代に蘇る、未来の姿

『シン・ゴジラ』を観終わりました。
今回はその感想を書いたわけですが、思った以上に長くなってしまった。
観終わった直後はもっとあっさりした感情だったはずなのに。

やっぱり、ゴジラには不思議な力があるんだなあ、
と書き終わって思う一作でした。






まず、誰もが知っているでしょうが、
この映画の監督は、有名な「エヴァンゲリオン」シリーズの監督も務めています。
映画が始まって三分で「あ、エヴァだ」とすぐにわかります。
文字のフォントや言葉使いがまったく同じなので、意図的なのでしょう。

そして、物語の大きな構造もエヴァとよく似ています。
人類の知らない、大きな災害が突如人類を襲い、
それに対抗するべく、人類が立ち向かう。
でも、その要素要素はむしろ真逆になっているように思います。


【一人のスーパーヒーローと人類知恵の結集】

エヴァの場合、脅威は使徒で、今回の映画ではゴジラです。
でも、その脅威に対抗する手段は真逆です。
エヴァは巨大なスーパーロボットがほぼ単独でそれに立ち向かう。
それに対して、今回の映画は現代の日本が舞台。
そんなスーパーロボットもなければ、秘密兵器があるわけでもない。

なんというか、わかってはいたのですが、
ゴジラが来た時点で絶望しかないのですよ。
船も車も信じられない数が押し流され、
よく目にする高層ビルはあっさりと押しつぶされる。

本当、核兵器ても勝てるのかって、そう思ってしまう。
そこを人類の知恵を結集して、なんとか対抗していく。
エンタメにありがちなスーパーヒーローと見事な対比になっていると思います。


【ウェットな人間関係と、ドライなビジネス】

上に関連して、人間関係の描き方もかなり大きな違いがあります。
エヴァはスーパーな性能を持つエヴァ初号機とそのパイロットのシンジをめぐり、
組織の上層部や世界のトップ権力の思惑がどろどろに絡みます。
シンジ周辺の人物も、みなそれぞれ心の奥深くに根付いた闇を持っており、
意図せずともシンジ自身に絡みついてきます。

『シン・ゴジラ』では各国の政治的な思惑や、お役所的なめんどくささはあれど、
個人レベルの思惑はほとんど表に出ません。
ゴジラの脅威を止めることに一見矛盾しているように見える言動も、
冷静に思い返せば「仕事」をきちんとこなしている現れだと思います。
人の意見に振り回されやすい総理大臣も、己の保身というよりは、
何が日本にとって最善なのかを考えて迷っているだけです。

そんな個人の「お仕事」が、最初は統率がなくシナジーがなかったのが、
矢口の統率力によって、ゴジラに勝つことができた。
ですが、それは矢口本人のパーソナリティや人間関係ではなく、
「仕事」に従順なみんなの地力があったからこそ、だと思います。
自衛隊のお偉いさんも「仕事ですから」と言い切っているように。

人類の知恵を結集する上で、
ウェットな関係があってはどうにもこうにもならなかったでしょう。
ある意味「社畜」と揶揄される
日本人の特性の影響が強かったのかもしれません。

観終わった直後、私はこんなツイートをしていました。


これは「エヴァみたいに人間の心理に深く踏み入っていなかった」という実感があったからです。
逆に言えば、脅威にどう人間が立ち向かうか、そこに焦点が当てられていて
それ以外の部分で深く悩む必要もなかったということです。

とはいえ、この映画がこの時代に出たのは、
偶然かもしれないし、必然だったのかもしれません。
それはゴジラの存在そのものをふっと考えて、思ったことでした。


【ゴジラは「敵」ではなく、共存すべき「災害」】

私たちの街をめちゃくちゃに壊すゴジラ。
人間たちはその光景に絶望し、同時にゴジラを止めるべく立ち向かっていく。
でも、ゴジラ自身に破壊をするという無い。
「彼」はただ陸に上がって歩いただけで、敵意はない。
それが人間たちにとっては大きな「天災」になってしまう。

私にとっては、「彼」が近い将来必ず来る首都圏直下型巨大地震に見えました。
ゴジラの持つ核分裂の力も、先の東日本大震災の原発事故を想起させます。
だから、この映画のゴジラは、いつか来る災害の象徴だと、そう思うのです。
そして、この映画は私たちの近い未来そのものなのだと。

この映画で「想定外だった」「マニュアルなんてない」という台詞が何度も出てきます。
いかにもテンプレな「あんた、バカぁ?」と言いたくなる言葉ですが、
私たちにそうした災害が起こったとき、
本当に私たちは矢口のように的確で迅速な判断を下すことができるでしょうか?

首都圏を襲う地震が起きれば、間違いなく「想定外」の事態が山ほど起きます。
間違いなく、私はパニックになって、自分の身さえうまく守れないでしょう。
どんなにシミュレートしたって、必ず未知の危機に出会うでしょう。
きっとこの映画の人間のように絶望してしまう。

それでも、です。
この映画の最後で矢口が言葉にします。
「人類はゴジラと共存していかなければならない」

避けようのない災害を消すことはできない。
想定外のことが起きることは避けられない。
そのとき、私たちができることはなにか。
スーパーヒーローなんていないこの現実の中で、どうやって災害に立ち向かうのか。
それは、私たちの知恵を結集する以外にないのではないか。
そして、私たちにはそうできる力がある。
そうやって、災害と付き合っていくしかないのではないか。

現代に蘇る怪獣は最後にそんな思いを私の中に残して、
東京の中央で音もなく佇んでいました。

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プロフィール

蛮天丸

Author:蛮天丸
物書き。
東方プロジェクトの二次創作小説を中心に、
好きなものを好きなように書いています。
最近は秘封がお好き。
秘封処女膜合同の主犯(siroito.web.fc2.com/maidenhead/)だけど、処女じゃないよ!
アイコンは一条さんからお借りしました。

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