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『ラスト・ロール』 ~ 裏話

前作『メリー・マリー』から相当な時間が経ってしまいました。
しかし、5年の時を経て、ようやく完結しました!
投稿したばかりの私は抜け殻のようでした。
感動とか、充足感ではなく、妙な虚無感と淋しさ。
今まで何度も投稿しましたが、こんな感覚は初めて。

『ラスト・ロール』  作品ページはこちらから

それだけ私の中で秘封倶楽部の二人の存在が大きく、
そして、このシリーズがその柱になっていたのだと思います。
二人の結末を書き終えるのは、
彼女たちの世界を手放すことに近かったのでしょう。

だから、ツイッターで「秘封はもう書かない」と宣言しました。
正直、他のネタが出てこないこともあります。
私はもう、あの二人を見守るだけの立場で十分です。
そして、私自身は別の世界に移ろうと思っています。





さて、この作品は当初、ふたつの中編でできていました。
ひとつは蓮子とメリーと紫で動物園に行き、狐と出会う話。
そしてもうひとつは、消失した紫を蓮子が探し出す話。
当然、前者の方が時系列では前です。

実は前者の方は三年以上前に半分以上書いていたのですが、
クライマックスも何もなく、あまりにも淡々としていました。
しかし、他にどんなエピソードを入れるかも思い浮かばず、
そのまま放置してしまっていました。

しかし、昨年の六月からようやっと重い腰を上げて、
当初の5・6作目を合体させることにし、
ようやっと完結に持っていけたのでした。

投稿したあとなのでいえますが、
合体させてよかったかな、と思います。
紫が消えた謎を蓮子が紐解いていくという方が、
お話としてはメリハリがありますから。

その紫ですが、彼女こそがこのシリーズを書き始めるきっかけでした。
秘封CDの中でメリーが紫的な力を持ち始めている示唆があり、
秘封界では「メリー=紫」説が今でも強いのです。

で、私はひねくれて、単純なアイディアを書いたのでした。

「紫はメリーの子供である」

それまでの設定と矛盾することもない。
メリーの目の力が遺伝されて、その子どもが能力を開花させる。
そして、その子どもが幻想郷を生み出していく。
この設定を軸にしてお話を作りたい、そんな想いがありました。

さすがに5年も経てば、斬新さもなにもないのですが、
それでも当初の構想をそのまま推し進めることにしました。
きっかけは単純なアイディアでしたが、
やはり紫が幻想郷を作るということの意義と理由は、
このシリーズを貫くテーマに通じるからです。

  ◆

このシリーズで描き続けたテーマは「夢と現」「主観と客観」。
加えて、今作は「母と子」「親友のあり方」も描いたつもりです。
特に「母と子」は「夢と現」にも深く通じています。

この物語では紫は6歳になっています。
そのあたりの子どもには自我が芽生えており、
徐々に「自分だけの世界」を持ちたがるころです。
別の言い方をすれば、自分にかまい続けていた、
あるいは自分の世界の神であった母親に反発し、
離れていこうとする年頃です。

「自分だけの世界」、それは「夢」
母親との関係が夢を持つきっかけになっても不思議ではない。
普通の子どもであれば、いわゆる秘密基地とか、
家の中の個室がそうしたものになるのでしょう。

けれど、紫はメリーから受け継いだ境界の力で、
幻想郷を作るに至ったのです。

思えば私も3歳とか4歳まではお母さんに甘えきりでした。
しかし、小学校に入ってから、反発し始めるようになりました。
たとえば、宿題をやれと言われてもやらなかったりとか。
(見えないところでやってるんですけど)
今振り返れば「子どもだなあ」と思うばかりですが、
当時は自分が親離れして、立派になったんだと信じていたんですね。
小学校にも入って、自分だけの世界ができたんだぞ、と。

そして、友達と公園で秘密基地を作る。
秘密基地といっても、ちょっと探せば誰にだって見つかる場所です。
でも、自分だけの秘密は凄く心地よく、そこでは万能感がありました。
5歳から7歳までのときには、そうした変化がありました。
夢はなんでも叶うと思っていたのです。

そして、母親に冷たくあたる。
自分の世界があるのだから、こっちに構うなよ、と。

紫にもそんな万能感があったのでしょう。
幸か不幸か、本当に実現する力もあった。
それが幻想郷という、壮大な秘密基地へと繋がったのです。

  ◆

さて、紫のことばかり語ってきましたが、
やはりこのシリーズは「蓮子の物語」なのです。
念のため書きますが、「蓮子とメリー」ではなく、「蓮子」。

「他人が読むその物語の主人公は、蓮子ではないのだから。」

序盤に入れたこの文章こそ、蓮子がこの物語の主人公だと主張したものです。

もちろん、メリーも中心にいる大事な人物なのですが、
今振り返っても、このシリーズは蓮子の感情を
紐解くものでもあったのかな、と思います。

一番大切だったはずの親友は、どこかの男と結婚し、
男との間に子どもできた。
その子どもは親友そっくりの姿で、自分のことを慕ってくれる。
親友は今までと変わらない付き合いを求めてくる。
そんな状況に置かれた蓮子の心情は察するに余りあります。

けれど、蓮子は紫を連れ戻す決意をする。
なぜだろう、と自分に何度も問いかけました。
連れ戻すシーンを何度書き直しても、しっくり来なかった。
蓮子が蓮子らしい台詞を書いても、
彼女の心の奥底から出た台詞とは思えなかったのです。

でも、最後の最後で、一番避けていたはずの言葉を書きこんでいたとき、
ようやく、蓮子の気持ちが少しわかったような気がしたのです。
「紫、私はあなたが好きだよ」と。

蓮子の幼少期と紫の幼少期は対照的でもあり、同じでもある。
蓮子は自分の過去を紫に重ね、
また、彼女が夢見た世界を純粋に美しいと感じている。
本来なら、蓮子は紫にもっと親しい感情を抱いてもよかったはず。
でも、メリーの子どもという事実がその感情を歪めていた。

蓮子の台詞を書いたときに、
ようやく私は蓮子の気持ちを紐解くことができたのでした。
だからこそ、蓮子が主人公であると、あらためて書きたかった。

美しい夢が破れた彼女が、
この現実の中でもう一度夢を見ようとする。
それこそが、彼女たちの世界の中で一番美しい夢なんだと思うのです。

  ◆

色々ありましたが、秘封で一番やりたいことは、
このシリーズで書き切りました。
私が書いた他の秘封作品は、
このシリーズがベースだったと言っても過言ではありません。

特に蓮子というキャラクターには思い入れがありました。
私との共通点は皆無ですが、
彼女の視点を描くことを通じて、色々悩んできました。
結果的に原作の蓮子と違うところも多くなりましたが、
一人のキャラクターとして描けて良かったと思います。

そして、メリー。
蓮子の物語をずっと引っ張ってきた人物でした。
彼女をどう幻想的に描くかが、このシリーズの課題でもありました。
最終作でどう母親として変わるのかも。

最後に、私の背中を押してくれた方。
終わりました! 本当にお待たせしました!
今はただ、それだけです!

秘封倶楽部を書くのはこれでおしまいです。
このまま書かなくても、後悔はありません。
もし書くことがあっても、短編程度でしょう。
それくらい、このシリーズでやりきったと思っています。

色々語ってきましたが、ここでお開きとさせていただきます。
本当に長い間、お付き合いいただきありがとうございました!
次は秘封ではない、別の世界でお会いしましょう!

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プロフィール

蛮天丸

Author:蛮天丸
物書き。
東方プロジェクトの二次創作小説を中心に、
好きなものを好きなように書いています。
最近は秘封がお好き。
秘封処女膜合同の主犯(siroito.web.fc2.com/maidenhead/)だけど、処女じゃないよ!
アイコンは一条さんからお借りしました。

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